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野生酵母のみで大きな四角いセメントタンクで発酵。品種毎に収穫のタイミングが違うので別々に醗酵。その後、アッサンブラージュしてからスラヴォニア産のオーク樽で18ヶ月以上熟成。伝統的造りで、若い内は繊細さが勝るが、少し熟成するとネッビオーロのような深みが出てくる。
『チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア』の先駆者
チェラスオーロ・ディ・ヴィットリアを代表する造り手。自然なワイン造りに傾倒しており、アンフォラ発酵はいち早く導入。 今では非常に高い完成度を誇っている。
世界最大のアンフォラ熟成庫
シチリア「ヴィットリア」での高品質ワインの歴史は浅い。 「コス」が創業した 80 年代、高品質少量生産ワイナリ ーは1軒も存在しなかった。
『果樹園、さぼてん栽培とオリーヴ畑がこの地域の 産業。80 年代のヴィットリアでは葡萄畑は荒廃して いた。皆が諦めていた』「ジュスト・オキピンティ」、「ジャンバティスタ・チリア」 と「チリノ・ストラノ」の 3 人がこの地のワイン造りの復活 を目指して創業した。『3 人の名前の頭文字を取って C.O.S と名付けた。 現在ではチリノが抜け、ジュストとティッタ(ジャンバテ ィスタ)の 2 人で運営している』
当初は当時の最先端のワイン造りを取り入れていて バリックが並び、カベルネを尊重していた。 1991 年には新たに「ヴィラ・フォンタネ」を購入。個性 の違った区画に育つ古樹を手に入れる。『ワインと自然の結び付きを感じ始め、ビオディナミに 行き着く。2000 年には古代のワイン造りを目指し、 シチリアで初めてアンフォラを導入』今ではバリックは全て売却され、150 個の「アンフォ ラ」が地中に埋められている。これは世界最大規模 のアンフォラ醸造所だ。
混植でワインに躍動感を
『葡萄樹は虫や他の植物と一緒にいるのが自然。共 存させることが重要で人間とも共存したいと思って もらうことが重要』除草剤で縞模様になった畑が未だに多い「ヴィットリ ア」。彼等の畑は青々とした草に溢れて健康的。一 切の薬剤は使用しない。ボルドー液さえも使用しない という完全無農薬の畑。 彼等の畑は森や果樹園に隣接されている。古い株 仕立の低い葡萄樹は下草と同じ高さで葡萄畑と森の 区別がつかない。『色々なクローンを混植している。また、プロヴィナー ジュで種を保存している。仕立はアルベレッロを基本 にするが自由に育てる』色々なクローンが混在することで葡萄の熟度や酸度 にバラツキが出ることが重要だと考えている。 同じクローンであれば同じ病気になり、同じタイミング で熟す。栽培は楽になるが、味わいが均一化され、 ワインに躍動感が出てこない。『人間が狙って造った味は単純。不揃いで計算でき ない複雑さが自然なワインを造る。こうして完成した ワインは感情的で動き出すようだ』
ワインは生きている
醸造所からバリックが消え、アンフォラが地中に埋ま っている。ステンレスタンクは伝統的セメントタンクに 変わった。『葡萄の人生にステンレスは無い。できる限 り自然な素材の中でワインにしていく。アンフォラは 土なので葡萄にとって一番身近な素材』アンフォラの効能は適度な酸素置換とワインにタンニ ンや香などを与えないこと。しかし、彼等が一番重視 するのは葡萄にとって一番身近な素材であること。『アンフォラは毎日、1 つ 1 つ違う成長をし、違う問 題が起こる。毎日清潔に保ち、1 つ 1 つのアンフォラ で起る問題に対処することが重要』150 個のアンフォラは 150 種類のワインに育つ。 バクテリアや酸化の問題は樽やタンクより大きく、毎 日試飲をし、毎日噴きこぼれたワインを洗い流す等、 細かい対応が行われている。『クローンの多様性と同じようにアンフォラでの発酵・ 熟成でも多様性が実現される。この個性をアッサン ブラージュすることでワインは複雑さを得る』「コス」のアンフォラ発酵・熟成のワインで揮発酸や酢 酸を感じることは無い。清潔に保たれた彼等のセラ ーを見れば納得できる。 熟成中のワインは「ティッタ」が好きなクラッシク音楽 を聴かせながら熟成されている。『ワインは感情を持っている。葡萄と同じで育った環 境で個性が変わる。ゆったりとした音楽を聴いて育 ったワインは癒しを持っている』