似て非なるAOCサンセールとプイィ・フュメの違いを体感！

フランス・ロワール地方の一番内陸にあるサントル・ニヴェルネ地区に燦然と輝く人気のAOCであるサンセールとプイィ・フュメ。どちらもソーヴィニヨン・ブランを使った白ワインに定評があり、気にすることなく飲んでしまうと違いに気づけないほど近いワインでもあります。この二つのAOCを地図で見てみると、似たワインであることは当然のことで、ロワール河を挟んで左岸にサンセール、右岸にプイィ・フュメと、川を挟んでほぼ対岸に位置する非常に近い産地でとなっています。こちらのセットでは同じ生産者のサンセールとプイィ・フュメを飲み比べてその個性の違いを追っていきましょう。

サンセールのテロワール

気候はロワール地方の一番内陸の産地ということもあり寒暖差の激しい大陸性の気候。土壌はシャブリを彷彿とさせるキンメリジャンのテール・ブランシュ（粘土石灰質土壌）と、二酸化ケイ素(ケイ酸塩)を主成分とするシレックス土壌(火打石)、石灰岩(ライムストーン)の小石が転がるカイヨットの3種類の土壌が存在し、キンメリジャンではやや肉付きの良く、どっしりとした印象に、シレックスでは骨格がしっかりとした引き締まった印象に、カイヨットでは軽やかな印象になると言われます。サンセールはプイィ・フュメより面積が広いこともあり前述の3つのタイプが存在します。

プイィ・フュメのテロワール

気候はほぼサンセールと変わらない寒暖差の激しい大陸性の気候。土壌はサンセールと同じ3種類が存在しているのですが、よりシレックス土壌の要素が強く、その比率が高くなっています。このことからサンセールよりも面積が狭いプイィ・フュメの味わいはこのシレックス土壌の特徴である骨格がしっかりとあり、引き締まった印象であることが多くなっています。そして何よりシレックス由来の火打石の香りが感じられることが多いと言われています。

生産者　FIRMIN DEZAT フィルマン･ドゥザ

ドゥザ家は元々サンセールで最も古い歴史を持つ家柄の一つで、家族の歴史は16世紀にまで遡ります。1948年にアンドレ・ドゥザが現在に至る起点となるドメーヌを立ち上げ、70年代からは2人の息子であるルイとシモンに引き継がれました。アンドレ、ルイ、シモンはサンセールの名声を高めるために最も注力してきた家族経営の造り手であり、アペラシオン最良の「典型」として高い評価を受けてきました。2000年代以降は3代目となるシモンの息子フィルマンが醸造を担当。2021年にフィルマンの叔父であるルイとその息子アルノーが別ドメーヌを立ち上げることになったことから、2021年より「フィルマン・ドゥザ」としてアンドレのオリジナルの醸造所を引継ぎ、新たなスタートを切りました。2021年以降は完全有機栽培に転換中であり、SO2の添加量も低減を図っています。数年内にエコセール認証等を取得予定。さらなる飛躍が期待される優秀な生産者です。

本セットのワイン

フィルマン・ドゥザの2022年のサンセールとプイィ・フュメを比較して土壌からくる味わいの違いを比較。シレックスが極わずかで、その他を石灰岩の小石のカイヨットと粘土石灰質のテールブランシュが占めるサンセールと、シレックスが43％を占めるプイィ・フュメを同一生産者、同一ヴィンテージで飲み比べることで、その違いを感じ取りましょう。