今回は偉大なリースリングの産地フランスのアルザス地方より、アルベール・ヘイツの造るグランクリュ・アイシュベルグのリースリングと、ニュージーランドのノースカンタベリーに本拠地を置く名手ピラミッド・ヴィンヤードが優れたグロワーからの買いブドウで作るグロワーシリーズから、マルボロのローズ・ファミリー・ヴィンヤードのリースリングを飲み比べ！なんとどちらも10年の熟成を経た2015年ヴィンテージ。しっかりと熟成による変化が感じられる飲み頃を迎えたワインでの飲み比べとなります！

アルザス・エギスハイムの畑 リースリング マルボロ・ラパウラの畑

アルベルト・ヘイツ　グランクリュ　アイシュベルグ　リースリング　2015

アイシュベルグはアルザスの中央やや南側のグランクリュ畑で、石灰質と泥灰土のやや重い土壌を持つ畑。標高は220m～340mあたりに属し、雨の少ない、乾燥したクリマです。この畑のワインは力強さと、肉付きの良さ、広がりを見せることで知られ、非常にボリュームのある味わいを見せてくれます。また2015年は非常に暑く、収穫量が少なく凝縮度の高いヴィンテージ。味わいのバランスをとるのが難しかった年でもあります。そのような状況で生み出されたこのワインが、10年の時を経てどのような姿になっているか、ぜひお楽しみください。

【テイスティングコメント】

照りのある濃いイエローの色調。粘性はしっかり。熟れたリンゴ、和梨、アプリコット、カリンの蜂蜜漬けなどの熟度の高い果実がさらに熟成により幅が出たような印象。ボリューム感も凄い。加えて黒糖、べっこう飴、黄色い花、かすかなスモーク、酵母のニュアンス、青梅、バニラなどの香りも感じられ、非常に開いていて、複雑さもある。口に含むとしっかりとした粘性が感じられ、より開いた果実の広がりが凄い。少しの残糖感とリースリングらしい粘りと長さのある酸が、細く舌の両サイドで伸びる。酸の量自体はリースリングとしては多くはないが、長く続くところが素晴らしい。アフターにはかすかなほろ苦さ。まさに飲み頃に入ったリースリング。

ピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤード　ローズ・ファミリー・ヴィンヤード　リースリング　2015

このグロワーズ・コレクションは、ニュージーランドの最高のブドウ栽培者の技術と献身を、ピラミッド・ヴァレーヴィンヤードがワインとして醸造したシリーズ。このローズ・ファミリー・ヴィンヤードの畑はマルボロのラパウラに位置しており、小石が多く深い砂利質の土壌。ここから生まれるリースリングは力強く、リッチで緻密、フルボディでありながら、はっきりとしたミネラルが感じられます。

【テイスティングコメント】

照りのあるイエローの色調。粘性はしっかり。黄桃、カリン、マルメロ、アプリコットなどの豊かな果実の香り。加えてスモーク、少しのぺトロール、メイラード系の香ばしさ、栗、蜜、黄色い花、鉱物、石灰、白檀等のニュアンスも感じられます。口に含むとなめらかなヴェールに覆われたような質感で、程よい残糖感と共に果実感とスモーキーさが感じられる。香りもしっかりと開いている。酸はリースリングらしい伸びのある細く長い酸で、甘味と共に旨味の残るフルーティなアフター。バックボーンの大きさはあまり感じないですが、10年の熟成を経て非常に良い飲み頃の状態になった上質のリースリングです。