ワインを学ぶ上で非常に有効な飲み方のひとつが比較試飲です。今回のオレンジワイン比較セットは「浸漬時間」に重点を置き、時間の差で種皮から抽出されるタンニンやフェノール類にどの程度の違いがでるのかを感じていただくためのセットです。どちらもクセが少なく、旨味にあふれる素晴らしい品質の2本!
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オレンジワインとは
オレンジワインは、まず前提として白ブドウを使用します。白ブドウを使ったワインは通常まず絞った果汁のみを発酵をさせて白ワインにするため皮や種は使用しません。しかしオレンジワインは果汁だけでなく皮や種も一緒に発酵をおこないます。そうすることで皮や種から成分の抽出がなされ、オレンジに近い色合いになることが多いためオレンジワインと呼ばれています。(アンバーワインとも呼ばれます。)いわば白ブドウを使って、赤ワインの製法で造るワイン。それがオレンジワインとなります。
元来、オレンジワインは8000年も前からワイン造りを行っているジョージアが発祥といわれており、クヴェヴリと呼ばれる大きなツボを地中に埋め、その中に白ブドウを皮・種と一緒にいれて発酵させて作られていました。ジョージアでは現在もこの方法で多くのオレンジワインが造られています。このオレンジワインに魅せられたのがイタリア・フリウリのグラヴナー。彼が素晴らしいオレンジワインを作ったことで志を同じくする生産者が増え一大ムーヴメントとなります。その結果現在のように様々なオレンジワインが日本でも飲めるようになりました。
比較試飲のポイント⇒マセラシオン(醸し)期間による抽出の度合い
オレンジワインならではの特徴でもある白ブドウの醸し発酵。今まであまり体験してこなかったことで、まだイメージとしてつかめていない部分が多いのではないでしょうか。白ブドウを皮や種子ごと発酵させた時に、時間の経過と共にどの程度その成分が抽出されて、外観や香りや味わい、渋みに影響を及ぼすのか。今回のセットはほんのわずか数時間のみ皮・種子とともに発酵させたオレンジワインと、もう少し長く8日間一緒に発酵させたオレンジワインを飲み比べることで、その成分の抽出の度合い、香り、味わいにどの程度影響が出ているのかというものを感じていただくのが今回の試飲のポイントとなります。
マセラシオン期間が、ほんのわずか数時間のみ
グレケット ウンブリア IGT
Grechetto Umbria IGT
生産地:イタリア/ウンブリア
品種:グレケット100%
ワイン情報
標高約220m。グレケットは北東向きの区画にあります。仕立てはグイヨ。手摘みで収穫後にスレンレスタンクで約48時間のスキンコンタクトの後にソフトプレス。その後野生酵母で発酵が始まるとわずか数時間で皮と種子を取り除きます。発酵後はスレンレスタンクで5ヶ月間澱と共に置いた後に瓶詰め。瓶詰め後、約2ヶ月間落ち着かせてからリリース。
テイスティングコメント
照りのあるオレンジの色調、粘性はしっかり。香りは非常にボリュームがあり開いた状態。アプリコットや紅茶、リンゴジャム、リンゴのピール、マーマレード、酵母、乳酸、土、キンモクセイ、ジャスミンなど丸みと優しさを感じる香が非常に豊かに香ります。口に含むと全体にタンニン分は薄く広くひろがり控えめ。とはいえちゃんと感じられる程度のタンニンの量。酸は少なめでほろ苦さと旨味のあるタンニン分が心地よいアフター。オレンジワインとしては華やかさと軽やかさが目立ち、非常に心地よい飲み口を持つ仕上がり。
マセラシオン期間が、8日間のオレンジワイン
トレッビアーノ スポレティーノ
Trebbiano Spoletino
生産地:イタリア/ウンブリア
品種:トレッビアーノ・スポレティーノ100%
ワイン情報
標高約220m。トレッビアーノ・スポレッティーノは白ブドウながら収穫は10月になるという超晩熟の品種。10月下旬の収穫は手摘みで、野生酵母を使用して8日間果皮とともにステンレスタンクで発酵。その後、オリも一緒にステンレスタンクで5か月間熟成しています。
テイスティングノート
照りのあるオレンジからやや淡いアンバーの色調。香りはアプリコット、カリン、和梨、酵母、アーモンド、鉄分、埃、バニラ、カラメル、小ぶりのメロン、黄色い花、ジャスミン、紅茶、リンゴ、蜜など複雑でしっかりと厚みのある香りで重厚感がある。口に入れると丸みのある果実のニュアンスとやや多めのタンニン分を含んだ口当たりがギャップがあって面白い。タンニン分を伝って舌に旨味がしっかりと染み込んで、しっかりと厚みを感じさせる味わい。酸は適度。
生産者:カンティーナ・ライナ
Cantina Raina
天才的なバランス感覚でクリーンな自然派ワインを生み出す才能あふれる若手生産者。
今回選んだオレンジワイン2種は、クリーンでいながらしっかりとオレンジワインの特徴が表れる逸品。クセが少なく、旨味にあふれる素晴らしい品質の2本となっています。どちらも間違いなく美味しい、そしてお手頃なオレンジワインです。
最後に
今回の2本は比較的短めの醸し発酵期間のワインとなります。今回はあえて醸し発酵期間が短く、クセの少ないオレンジワインを選ぶことで抽出による違いがより分かりやすくなるように選んでいます。長いものですと2か月~半年、さらに長いものなどのものもございますので、今回の比較試飲を元にしてより発酵期間の長いものにチャレンジするのも面白いです。