華やかなだけじゃない本来のヴィオニエの姿
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ヴィオニエらしい白い花の華やかな香り。しかし、それだけではないのがコート・ボネットのヴィオニエ。熟度が高い葡萄でボリュームがあるが、酸やミネラルが深みをもたらす、多層的で複雑で奥深い。
ヴィオニエは本来、アタックの陽気さだけでない高貴さがある品種。厚い果実の奥に確実に土地の味を感じさせる
『コンドリュウで最も自然が残る場所がコート・ボネット。森に囲まれ、周辺に畑が無く、生物多様性が自然と確保されている』
コンドリュウ最高峰コート・ボネット
コンドリュウは難しい産地だ。ヴィオニエの適度な凝縮感とオイリーさ、フラワリーで優れた芳香性だけが先行してしたシンプルなヴィオニエが多く、コンドリュウの本来の深み、ミネラルの表現を見せてくれる産地は今や貴重な存在だ。コート・ボネットはコート・ロティ以上の急斜面で、働く人間にとっては厳しい環境。手作業で掘り出した石を積み上げ段々畑を形成していく。幅は1m程度しかなく、効率は非常に悪い。崖の中を北風が常に吹きぬけるのでブドウにとってはカビがなく、病気が少ないメリットがある。それは開花時期に冷気が必要なヴィオニエにとって理想的。他の産地のヴィオニエには無い、複雑でミネラル感ある個性を味わえる理由はここにある。
化学薬品が使われたことがない
畑の作り方はジャン・ミッシェル・ステファンに習ったという。ジャン・ミッシェルは自然派ワインの父と呼ばれたジュール・ショヴェに薫陶を受け、フィリップ・パカレと共に学んだコート・ロティの小規模生産者だ。急斜面に作る段々畑の石壁は敢えてコンクリートを使わないで積み上げるだけ、。崩れたら積みなおす、それが自然だ。伝統的仕立で三角形の支柱に葡萄樹を固定し、風を受ける帆船のように枝を広げ、葡萄樹の間に風を通していることで病気を防ぐのと同時に果実が焼けるのを防ぐ。
三角形に組まれた支柱はローヌならではの光景だ
畑では硫黄と銅、プレパラシオン以外は使用されない。1960年代から1度も農薬が使われていないことになる。首尾よく休まっていた土壌を壊さないよう注意する。極度の乾燥から守る為、耕起は冬から春のみ。夏場に耕すと地中の水分が蒸発し微生物も死んでしまうのだそう。コンドリュウで有機栽培を導入し、自然なワイン造りを行っているのは彼等を含めて5軒しか存在しない。それ程、厳しい環境なのだ。『夏場は酷い乾燥なので地中深くまで根を伸ばしている葡萄樹は大丈夫だが、雑草すら生き抜くことができないので草むしりも必要ない』
暑いコンドリュウならではの工夫
ワイン醸造は栽培同様にできる限り介入しない事を基本とするが、暑いコンドリュウならではの工夫が随所に活かされている。収穫のタイミングは、糖度以上に酸度とフェノール類の成熟を特に重要視して決めている。より深みのある多層的なワインを目指している。『ゆっくり成熟したヴィオニエのみを数回に分けて収穫することで酸度、糖度、果実味、香味成分、ミネラル、タンニンのバランスを得る。収穫後はドライアイスを使って、酸化から守りながら温度を下げて、揮発的な香りを守り、フレッシュさをワインに与えている』
発酵は野性酵母のみ。ステンレスタンクで始めて、発酵が安定したら古いバリックに移して発酵を続けていく。
『近年の気温上昇で酸を足すことが許され、足す生産者が多いが、私達は足さない。葡萄がワインを造るのであって化学が造るのではない』
夏は酷い乾燥、冬は雪、厳しい環境だ
(インポーター資料より引用)